しかし、異常な光景を見ている先輩は咄嗟には動けないままだった。


先輩の腕の力が緩み、桜井君が先輩を抑え込む。


その間にあたしの体が徐々に上昇し始めていた。


フェンスに沿って上へ上へと持ち上げられる。


「助けて! 助けて!!」


どれだけ悲鳴を上げてみても、誰も助けには来なかった。


なんで?


なんで誰もこないの!?


あたしはクラスの人気者でしょ?


それなのに、どうして……!