その目には徐々に涙が浮かんできていた。


震えているのは恐怖心からじゃない。


あたしが……消えるからだ。


「なにを――っ!」


文句を言おうとした次の瞬間、あたしの体は激しくフェンスにぶつかっていた。


立っていた場所からフェンスまでは3メートルほど距離があったのに、何かに弾き富まされたのだ。


痛みに顔をしかめ、フェンスから離れようとする。


しかし体はフェンスにベッタリとくっついて離れない。


「助けて!」


青ざめて、先輩へ向けてそう叫んだ