そんなワケなかった。


「ありがとう先輩」


あたしはそう言い、桜井君のズボンのポケットに手を突っ込んだ。


硬くて四角い感触がする。


それを掴み、引き抜いた。


黒いスマホが現れる。


「おい! なにする気だ!」


「あんたのアプリを消去するに決まってんじゃん」


あたしは冷たい声でそう言った。


桜井君が青ざめる。