「今日、洋二は？」


そう聞かれてあたしは左右に首を振った。


クラスメートの日暮洋二（ﾋｸﾞﾗｼ　ﾖｳｼﾞ）は昨日から熱を出して学校を休んでいる。


その席は今日も空っぽだ。


「なぁんだ。今日も休みかぁ。残念だなぁ」


成美はそう言ってニヤニヤと笑いかけて来る。


洋二がいない事を残念に感じているのは成美ではなく、あたしだからだ。


洋二のことが好きだと知っている成美は、ことあるごとにあたしを茶化してくる。


「別に、洋二がいなくても寂しくないし」


そう言ってみるけれど、実際は少し寂しかったりする。