誰からも愛される小動物的な存在。


「まじかよ。洋二相手じゃ無理じゃん」


「ってゆーかお前も優奈狙いかよ」


そんな話を聞きながら、あたしは視線をサッカー部の練習へと戻した。


汗を輝かせながらボールを追いかける洋二。


その洋二が優奈を狙っているようになんて、全然見えない。


ただの噂話かもしれない。


彼らの勘違いかもしれない。


そう理解していても、その噂話はあたしの心に黒い影を落とした。


あたしはそっとその場から立ち上がり、帰路へとついたのだった。