懐かしくて、涙が出た。


「あたしは洋二が好きだった! あたしは洋二が好きだった!」


だけど忘れてしまった。


人を好きだと言う感情を、あたしは忘れてしまった。


ボロボロと泣きながら階段を駆け上がる。


今この瞬間を忘れたくない。


感情がある間に終わらせてしまいたい。


そんな焦りから一気に屋上へ続くドアを開けたのだった……。