自分でも制御する暇もなく、あたしは握りしめた拳を優奈へ向けて突き出していた。


鈍い音が響き、右手に痛みが走り、優奈を殴ってしまったのだと気が付いた。


横倒しに倒れた優奈が睨み付けて来る。


「なんで……なんでそんなことしたの!?」


謝るよりなにより、それが知りたかった。


なんでそんな嫌がらせを受けなきゃいけなかったのか。


優奈は本当は洋二のことなんて好きじゃなかったのか。


聞きたいことが沢山有り過ぎて言葉にならない。


「カレンがそんなんだからだよ」


優奈はとても静かな声でそう言って、何事もなかったかのように教室を出て行ったのだった。