水を飲んでみても、咳払いをしてみても、それが治ることはなかった。


「念のために薬を飲んで、マスクもつけて行きなさい」


お母さんがそう言って薬とマスクを出してくれる。


あたしはマスクをジッと見つめた。


洋二がずっとマスクを付けていた時のことを思い出す。


嫌な予感が胸をかすめる。


雄大は自分たちがアンドロイドを買うかもしれないということを臭わせていた。


でも、購入する時にはお金を出してほしいと、あたしに言って来るはずだ。


それでも嫌な予感はぬぐえなくて、あたしは早々に家を出た。