あたしが本を読まない事を、洋二は見抜いていたのかもしれない。


けれどこうして付き合ってくれているということは、悪いことじゃない。


「ありがとう。読んでみるよ」


図書室で本を借りるのはこれで3度目くらいだった。


後の2度は授業で必要だったから借りた。


「サッカー、まだまだできそうにないの?」


教室へ戻りながらあたしはそう聞いた。


「あぁ。このままだと部活に出ないまま引退になるかもなぁ」


洋二はそう言ってため息を吐き出した。