あたしが用事を好きになったのは高校に入学してすぐの頃だった。


まだ、部活をするかバイトをするかで悩んでいた頃、洋二が早くもサッカー部で動き回っているのを見かけたのだ。


1年生のくせに人よりもよく動いて、雑用も笑顔でこなしていた。


そんな用事を見た瞬間、胸がキュンッと鳴ってしまったのだ。


本当に、恋に落ちる瞬間なんて自分でもわからない。


「結構長いんだな」


過去の出来事を思い出していると、雄大がそう聞いて来た。


「まぁね……」


あれからずっと片想いだ。


3年生に上がって同じクラスになってから、やっと挨拶を交わす程度の関係になれた。


けれど雄大の目にはあたしはうつらない。