洋二は顔をしかめている。


「へぇ、ちょっとは進歩したじゃん」


あたしは感心してそう言った。


殴られて痛そうな顔ができる洋二はますます人間らしい。


けれど、今の洋二にできるのはその程度のことだった。


起き上がろうとした洋二のわき腹に、あたしは思いっきり蹴りを入れてみた。


洋二はまた顔をしかめる。


さっきと同じ表情だ。