¨仕事¨の場所は翌日の夜、病院から近いホテルになった。

最後の思い出にと病院から一泊だけ外泊許可が出たらしい。


「ここの304号室でお母さん待ってるから」

そう言って鍵を渡す岡村ナギサの目は真っ赤だった。


「…分かった」


ホテルに入る背中を岡村ナギサがずっと見ているのが分かった。


-どうしても今伝えたい言葉があった-

「岡村」

振り返ると岡村ナギサの目からまた涙が溢れていた。


「オレお前が好きだ。」

人生初の告白がこんな形になるとは夢にも思わなかった。


岡村ナギサは返事を答えない代わりに泣きながら何度も頷いた。


気づくと自分の足下にも涙が落ちていることに気づいた。


今までも金の為と割り切って寝てきたが、こんなにやり切れない思いは初めてだった。