学校の校門前に着くと岡村ナギサはもう待っていた。

「ゴメンな、遅くなって」

「ううん、…あのバイトだったんでしょ?」
「…」

答えない代わりに顔色で見透すかされた。


「…あのね、山下くんにお願いがあるんだ」

「あ、ああ、どうしたの?」

「お母さんのこと前話したじゃない?

お医者さんが言うにはもう2、3日しかもたないらしいの」

「…うん」

岡村ナギサが後ろを向いた、
微かに肩が震えていた。

「それで…お母さんが私にお願いしてきたんだ、

さ、最後に…男の人に抱かれたいて言ってるの…


最後に、、女として生きたことを思いだして…し、死にたいて、、」

もう拭っても拭っても隠せないほど涙が溢れ落ちていた。


「ゴメぅ、こんな、こと…、山下くんにしか頼め、ぅなくて…」


「もう泣くな」

自分でも驚くくらいに自然に抱きよせていた
すると岡村ナギサは今まで抑えていた蓋がとれたように、より一層声をだして泣きじゃくった。

「分かった、オレはこれが仕事だから。」

そう言うとゆっくりと頭を胸から離した。