優はもともとクールだった。
男子の友達は多かったけど。
『中学であんなにモテてたんだから、高校に行ったら
…やばいんじゃない??』
中学の女子はみんな口を揃えて言ってた。
私だって…そう思う。
行動しなくてイィの??
誰かに取られちゃってイィの??
そんな自問は何度したことだろう。
でも勇気も決断力もなく、ズルズルとここまできてしまった。
そんなこんなで不安になっていた矢先、
中学のときの親友から 噂を耳にしたのだ。
『唐木田くんが、礼想女学院の女の子と歩いてたよ...』
「…??
れいそう女学院??」
「えっ……もしかしてあんた知らないの??
礼想っつったら、才色兼備のお嬢様が通う名門校だよ??
しかも、唐木田くんの学校のすぐ側にある...」
「………」
一気に頭は真っ白になった。
優に彼女??
うそうそ…
きっと何かの間違い…
「………うっそだぁ...
あの無口でクールで愛想の欠片もない優に彼女なんて…」
早口に言って、急にのどが詰まった。
鼻がツンとして
目が熱くなる。