マンション…
一階の脇。
優が家に帰るのに絶対通らなきゃ行けない場所。
ドキドキがとまらない…
さっきからあたしの胸は、優のことでいっぱい。
コツコツ…コツ
ローファーの足音。
優だ。
コツコツ…コツ
規則正しく…
優が近づいてくる…
「…未衣??」
低めの声。
顔をあげなくても
優だとわかる。
「…優、あのね、あたしねっ『お前寒くねぇの?』
優は、自分のブレザーをあたしにかけてくれた。
「…えっ」
「久しぶりに俺ん家くるか?」
ねぇ…
なんで今日のあなたはこんなに優しいの?
あたし…
こんなに優しくされたら
諦められなくなっちゃう…