唐木田 優 を好きになったのがいつかなんて 覚えてない。
気づいたときには、
特別だった。
気づいたら目で追ってて、
‘幼なじみ’なんていう特別な関係が嬉しかった。
優はいつだってモテたけど、
『優の一番近くにいるのは私』
その事実は、いつだって変わらなかったから。
それで…充分満足してた。
「未衣はイィよね~
いつも唐木田くんの隣にいれて。」
「唐木田くんが女子で話すのって、未衣くらいだもんね~...」
「幼なじみだからってだけだよ!!」
そう言いながら、多分顔がにやけてたと思う。
…それも中学のときの話。
優と違う高校に行くってわかったとき、
すごくショックだったのを今でもおぼえてる。
優の選んだ学校は、
あたしには手も届かない所だったから、簡単に諦めもついたけど。
結局、うちの中学から、その私立高校に行ったのは優1人だった。
朝の少し肌寒い空気が 頬をなでる。
ゆっくりとした下り坂にさしかかって
自転車の速度は上がっていった。
『高校に行っても、幼なじみって関係は変わらないじゃない』
そう言って勇気づけてくれた親友をふと思い出した。