「優、おはよ~」

「…はよ」

低血圧なあいつは寝癖の髪をワックスでムリやり整えて駐輪場へやってきた。


駐輪場で挨拶するだけの仲。

それがあたしとあいつの関係。



物心ついたときには同じマンションに住んでた。

自然と仲良くしてて、
学区が一緒だから、
必然的に幼稚園から中学校まで同じ所に進学した。


でも高校は…違った。


あたしは公立で家から近く、レベルもそこそこの中堅上位校に進学を決めた。


あいつは、昔から勉強ができたから、
有名私立大学の付属高校に進学した。


今日もすれ違って挨拶するだけ。

期待はしてないけど、
毎日、逆方向へ行ってしまう彼の背中を見ながら、なんとなく虚しい気持ちがした。





今日もいつも通り、
彼は私の気持ちなんて知らずに…

私に背中を向けた。