年齢的には
8歳も年下の子供達に
良いように弄ばれている私を
彼はじっと見ていた。

「じゃ、お願いね、
 ちゃんとやってね。」

生徒達に
人差し指を立てて言いつけると

「せんせのお願いじゃ
 聞かないわけにいかないな~。」

とニヤけた顔で答えてくる子もいた。

私は江良くんに向き直った。

「ちょっと話があるんだけど、
 いい?」

彼は黙って頷いた。

私は彼を伴って
3年生のクラスがある西棟と
中央棟を繋ぐ渡り廊下にでる。
人目についても
不自然じゃない程度の
鉄筋の柱の影に立つ。

「この間のことなんだけど・・・。」

だけど、
私はそこまで言って
言葉を続けられなくなった。
彼に何から話せば良いのか
纏まらなくて困っていた。