途中になっていた課題の
作成作業を再開しながら、
チラリと彼の後姿を見る。

少し離れた机の上に
上体を屈めて
メモを書く背中があった。

機械的に
手を動かしながら
その背中をじっと見ていた。

にわかに
その背中が立ち上がり
慌てて私は
作業中の自分の手元に
視線を落とした。

まもなく彼は
私の側までくると
クリップ止めされたメモ紙とペンを
すっと
机の上の空いたスペースに置いた。

「ありがとうございました。」

私の両手が
プリントで塞がっているのを見て
彼なりに
気を使ってくれてたのだろう。

「いいえ、それくらい・・・。」

私は彼の顔を
見ることができずに
世話しなく動かす
自分の手元ばかりを見ていた。