ゆっくりとグラスに口を付けると、横からじっと司が見つめていた。


「あの…」

「なに」

「ミーティング…するんじゃないんですか」

「してるよ、今」


 司は二口目を喉に流し込む。


「チームを組んだからには、相手のことを知らないと。だからこれは親睦会」

「ああ、そういう…」

 少し納得して、つられるように薄黄色のカクテルを飲む。


 その間も司の視線が気になった。


「…あんまり見ないでもらえますか? 気になって飲めないです」

「ああ、ごめん。俺、観察が趣味だから」

「観察?」


「気になったものは、つい観察しちゃうんだよね」


 それは司が自分のことを気になっているということだろうか。

 深読みして少しだけ頬が熱くなった気がした。


 きっとアルコールのせいだ、そう自分に言い聞かせる。


「わかります、私もいつも質問ばっかりしている子供だったので」

 観察とかも好きだし、と付け加え頷いた。


 親睦会ということは、お互いのことを理解するために話したほうがいいのだろうかと美桜は口を開く。


「わからないものは知りたいし」

「ああ、それ言ってたね。それ聞いて、あんたと俺、似てるって思った」

「あんたじゃないです」

 美桜は軽く眉を寄せて反論する。


「はいはい、美桜──」


 美桜、と名前を囁かれ急に甘い空気に包まれる。


 どうしていいかわからなくなるほど、急速に司を意識している。