優秀なプログラマーかもしれないが、人間的には欠陥がありすぎる気がする。


「これから大変だね、天才上司と一緒に仕事かぁ」

「どうなるんだろう…」

 司の仕事の仕方がわからないだけに、今は不安が多い。


「どっちにしても、うらやましいよ。二度とこんなチャンスないよってくらい司さんのそばにいたら、学ぶこといっぱいあると思う」

 鍛えられるよきっと、と言われ美桜は身が引き締まる思いがした。


 そうだ、ここからはきっと猛勉強の日々になることだろう。

 もちろんそれを大いに吸収していこうという思いは強くある。


「そうだね、がんばる」

 あの毒舌にも、皮肉にもきっと耐えてみせる。

 とカクテルを再び口に流し込んだ。


「何かイイ仲になったらすぐ教えてね」

「え?」

「あんなイケメンのそばで仕事してたら、絶対好きになるよ」

 からかうような視線で、志保が言う。

 美桜はやや顔を染めて、大きく首を振った。


「ないない、それはない」


 司の顔の良さは認めるが、中身に難がありすぎる。

 第一印象の悪さは、なかなか拭えるものではない。