喧嘩はしなかった。


とゆうより、喧嘩にならなかった。


あたしが怒って、彼が素直に謝る。


いつもそのパターンで、


そして、あたしも本気で彼に怒っていたことなんてなかった。


あ、でも一度だけ。


あたしの仕事が終わる頃、電話するねと彼が言った。


待っても待ってもかかってこない電話に、


しびれを切らしてメールを入れた。


すぐにかかってきた電話で、


『ごめん!先輩と飲んでて、』

『飲んでて?』

『忘れてました。すみません。』

『嘘でしょ?』

『いや、ほんとすんません。』

『ずーっと待ってたのに。』

『…何かお詫びを、』

『じゃあ、今度おごって。』

『ん。オッケ。ほんと。ごめん。』