「…っ。」


ペンを持つ手が止まる。


書いた文字が歪んで見える。


ポタリと落ちた水滴。


「っ、…っく…、」


涙が溢れて、書けなくなった。


彼を起こすまで、もう少し。


この手紙の終わりも、もう少し。


まだ彼が、あたしと一緒にいるうちに、どうしても書いてしまわないと。


彼の前では、涙も流さないと決めていた。