「CDありがとう」


彼女がいつもの可愛らしい笑顔で 階段を下りてくる。



「どうでした?好みだったでしょ?」



何食わぬ顔で返事をする。こんな回りくどいやり方では気持ちが通じるわけないのは 分かってる。

英詩に俺の気持ちなんて乗らない。



「びっくりした!」



なにが・・・?



「ずっと探していたの このCD 聴いた時 鳥肌たったよー」



なんとなく 気持ちが通じた気分になる。



「ねぇ。この曲」



彼女はアルバムの1曲目を指す。



「こんな風に想ってもらえる女性は幸せね」



はにかむように微笑む彼女は 今 誰を 想っている?



俺はこの曲の詩のように 彼女を想っている。