_______大輝Side___
…朝起きると、美雪はいなかった。
美音を連れて、家を出て行った。
そりゃそうだよな…
あんな報道されたら………
でも本当は…そうじゃないのに。
ちゃんとした、理由があるのに…。
今話そうとしても聞いてくれるわけないよな。
俺もちゃんと頭冷やそう。
リビングに行くと、テーブルに手紙が置いてあった。
俺が昨日書いた手紙…。
やっぱり読んでくれてないか。
「はぁ……」
でもあいつ、どこに行ったんだろう…
思い当たるのは…真央。
真央だ。
「もしもし真央?!」
『あぁうん。』
「美雪は?!真央のところにいるか?!」
『うん、いるから安心して。
って言うか、不倫ってほんとなの?!
ありえないんだけど。』
「……そうじゃないんだよ…………」
『まぁ、分かった。
美雪のことは心配しなくていいから。』
「ごめん。」
真央のところにいるなら安心だよな。
ほんとごめん。美雪…
______美雪Side__
ピーンポーン
「あ、いらっしゃい!」
「ど、どぅも……」
「話は聞くからさ!ほら、上がって!」
「ごめんね…ありがとう。」
相変わらず綺麗な真央の部屋。
白のカッコイイソファ。
透明のテーブル。
真央らしい。
「今、ココア入れてくるね!」
「…えっ。」
ココア………
よく大輝が作ってくれてたよね。
雪菜ちゃんにもココア作ってたのかな…
「美雪?どうしたの?」
「…あ、ごめん。お茶…下さい。」
真央は雰囲気を察して、お茶を持ってきてくれた。
絶対起きてるのに大輝が連絡してこないってことは、
もういいって思ってるのかな…
それとも、雪菜ちゃんのところに行った?
…なんなんだろう。大輝って。
「美雪さん…全部声に出てるよ?」
「へっ、あ、うそ、ごめん。」
「ねぇ、大輝は不倫したって認めたの?」
…うーん。
「認めてない。違うとか言い訳してきた。」
うん、言い訳。
不倫してまず最初にいう言葉は大抵、否定の言葉。
警察に行く容疑者と一緒。
僕はやってません。
って言う。
大輝は立派な容疑者だよ。
あたしだけを傷つけるならまだしも、美音もいるのに。
「西村雪菜さんって報道されてたけど、誰?」
「大輝が最初に出た映画の主役。」
「あぁ。」
最初に出た映画の主役……
大輝が…最初に出た映画…………
あの頃から好きだったの?!?!?!?!?!?!?!?!
「じゃあその頃から好きだったのかな?」
あ。
「今、あたしもそれ思った!」
「私は大輝がじゃなくて、雪菜さんがってことなんだけど。」
「あ、そっち?
じゃあ大輝は?」
「私が思うになにか理由があるじゃないかな?」
理由?
不倫に理由なんて…
「あるわけないよ!」
「もう1回よく考えてみなよ。ね?」
「真央にはあたしの気持ち分かるわけないよ!!!!!!!!!!!!
………………あ…ごめん。」
完全にカッカしてる。
真央にまであたっちゃった…
あたしのことで真央にまで迷惑かけてるのにまた……
「今日はもうこの話やめよ。
明日、気持ちが落ち着いたら話そうよ。」
「真央…ごめんね。ありがとう。」