小澤くんは私にいろいろな表情を見せてくれる。

こんな表情をする小澤くんをきっと他の人たちは知らない。

小澤くんが教えてくれた私の傘の在処。

見て見ぬふりも出来たはずなのに、小澤くんはちゃんと私に教えに来てくれた。

少しは自惚れてもいいのだろうか?

急速に発展していく感情と思考に冷静さは存在しない。

自分の都合のいいように相手の感情を分析しようとしてしまう。

それは若さからくる『恋』の形かもしれない。

例えそうだとしてもこの瞬間、間違いなく私の中では小澤くんが運命の恋人になるべき人なのだという勝手な思い込みが進行し始めていた。