遙は顔を手で覆う。

その手の隙間から、泣き声と一緒に涙が零れて、遙の大きな手を伝う。

「遙?!」

私はいてもたってもいられず、遙の側へ、手を伸ばした。

伸ばした私の手は

「さわんな!」

という怒鳴り声と共に払われた。

私はびっくりして一歩下がると

―ドンッ

通坂くんにぶつかった。

通坂くんは私の手を優しく包んだ。

「行こう。」

私の手を引く通坂くんの手を

「待て」

遙の小さな声が引き留めた。