「ねぇ、千里ちゃんって、通坂くんと付き合ってるの?」

いつも通り登校すると、後ろの席の子が聞いてきた。

「え?付き合ってないよ?」

私がそう答えると、彼女は大きく目を見開いた。

「うっそ!絶対付き合ってると思ったんだけどなー。」

どうやら私たちは、周りからそういう風に見えるらしい。

「だってだって、毎日一緒に帰ってるでしょ。」

まだ信じられないのか、しつこく聞いてくる。

「いや、そうだけど・・・」

でも、少し前までは遥も一緒に帰ってたし・・・。

と、そこで助け舟がはいった。

「俺たち、そういうのじゃないから。」

通坂くんがはっきりとした声で言った。

「そう、ありがとう。」

彼女はそこで引き下がってくれたけど、通坂くんのはっきりとした言葉が耳から離れなかった。