「昨日は、ごめん。」

いつも通り、屋上に来た通坂くんが言った。

「ううん、楽しかったよ。」

また行こうねって、言いたいけど言えない。

昨日のことは、ネットニュースにもなっていた。

『通坂隼真に彼女がいた?!』なんて思わせ振りな題がついてた。

きっと、事務所に怒られたんだろうな。

お母さんと歩いただけで誤解されて怒られたことがあるらしいし。


「あっ、聞いてくれよ。遥がさぁ、」

普通に話しかけてくれる通坂くん。

役者でもある彼の本音なんて、私に見えるはずもない。

ほんとの彼が見えないことが、急に寂しく感じられた。