「はいカットー!!」
今祐誠、私にキスした...?
「...悪い.....」
「なんで...なんでしたの...」
祐誠は、バツが悪そうに顔を背ける
意味がわからない...いくら演技とはいえ、本当にキスするなんて...
「今日はありがとな、あいつにも悪いことした、俺の代わりに謝っておいてくれ」
「ちょ、ちょっと祐誠っ!待ってよ!」
勢いよく祐誠の手首を掴むけど、祐誠は私の方を向かなかった
「...舞、本当に悪い」
その後、私は監督さんから女優にならないかと勧められたり、
スタッフさんに囲まれて、祐誠を見ることは無かった
「本当に君、女優になってみない?僕のツテですぐに事務所入りできるようにするよ」
監督さんの言うことには逆らえなくて、今回は名刺だけ貰うことになった
この監督さん、私でも知ってるくらい有名な人
どうしてそんなすごい人が、私を絶賛してくれたんだろう...
結局撮影が終わったのは夕方の五時頃で、その日は海で遊ぶことが出来なかった
私が啓くんと合流してホテルへ帰る時、撮影現場では...
「ねぇ祐誠くん、どうして本当にキスしたの?やっぱり好きなんじゃないの?
舞ちゃんが今日ここに来ていたのは奇跡よ、あなた達は結ばれるべきなのよ!」
「自分でも、よく分からないんすよ。気付いたらしてたっていうか。
役に入り込んでたっていうわけじゃないし...」