私に声をかけてきたのは、半袖半ズボン姿の女の人だった。
栗色に染められた髪の毛はポニーテールにされていて、首にはタオルがかけられている。
右手にはうちわ、左手には日傘が握られている。
...え、待って。この人って...!!
「ま、松本さん!?」
「そーだよ!久しぶりだね!!なんか前より舞ちゃん、綺麗になっててびっくりしちゃった」
松本亜美さん。
前に祐誠が私を撮影スタジオに連れてきた時に、私のメイクなどを担当してくれた人。
なんで、こんな所に松本さんが!?
「今ね、映画の撮影してるのよ!ていうか、舞ちゃん!助けて!!」
「え、な、なんですかっ...!?」
すごい勢いで私に顔を近づけてきた松本さんの瞳を、思わず凝視してしまう。
なんか、すごい嫌な予感...
「今日ね、ヒロインの姉役の子が夏風邪で休んじゃってるの!舞ちゃん代わりになってくれない!?」
「...え、えぇー!?」
い、いきなりどういうこと!?