「それでは、ご注文は?」

「うん、『カフェ・スラブ』を2つ。あたしがイチゴにするから、アダムはバニラにしてね?それでいいよね?」

「あ、ああ・・・ルノアが言うなら・・・」

「いつまでも、すねないでよ?半分こにして食べよー?」

「だったら、あーんして食べさせてくれよ、ルノア・・・?俺がいるのに、笑顔ふりまきすぎ。」

「じゃあ、アダムも食べさせてね?」

「もちろんだ、俺の可愛い子悪魔ちゃん?」



しょぼいラブシーンに、ゆるキャラ君は顔を赤くする。

笑顔以外の顔も可愛い。

他の表情も見たくなった。




(見てやる。)




そう決めたら楽しくなった。





「今日は気分が良いから、みんなも好きなの頼みな!おごってやるよ。」


「マジで!?やった」

「さすがフッチー!」

「マキ、夏美、損したな」

「あ、あはっは・・・」

「ホントね・・・」



金があることをアピールする。

ゆるキャラは、さぞかし、ありがたがるだろうと思ったが―――――――








(なにそれ?)








それが、少年を見た感想。





(喜んでない・・・?)





不安になるような、複雑そうな顔をしていた。






(なんで困るような面するの?)




あんたの店、もうけさしてやるんだよ?

あたしの視線に気づかないゆるキャラは、年上の女を見ていた。





「みんな一緒でいいの?」





屋台を仕切っている奴らしい。

そんな店主の問いに答えてやった。