キーコーンカーンコーン
「葵。ちょっとおいで」
文美ちゃんに呼ばれ行くと、人気のない教室へと連れて行かれた。
どうしたのかと不思議に思っていると、文美ちゃんと私は向かい合わせで椅
子に座る。
「葵、なんかあった?」
え?
私はなんの事やらと首を傾げた。
すると文美ちゃんは、いつになく険しい顔で見つめてくる。
ふ、文美ちゃん…顔が怖い。
怖くて俯いてしまう。
「あんた、朝のホームルームの時から顔が真っ青だったよ?なんかあっ
た?」
朝のホームルーム…。
あっ、あの事だ。
おばあちゃんと男の人の事。
でも私、そんな顔真っ青だったかな?
自分では分からないけど、相手には分かっちゃうのか。
「もしかして、うちが朝話した事でなんか気にしてる?」