「うーらー遅いぞー」
「悪い。家の用事で、ちょっと遅れた」
「3時限目が終わっても来ないから、学校抜け出して、雨羅ん家行くとこだっ
ただろ〜」
変な冗談を言うこいつは、中学生の時からのダチで朽木智也(クチキトモヤ)。
頭は明るい茶髪で、耳にピアス開けてるようなチャラチャラした奴。
とにかく智也は女好きで、ただのバカ。
いつも違う女と付き合っては別れて、付き合っては別れての繰り返し。
智也の女癖は、一生治らないかもな。
「あ、そーだ雨羅。お前さ、学校一美女の姫と話した事ある?俺、あの子ち
ょー気になってさ〜めっちゃ可愛いし、清楚で綺麗だし、頭も良くて、めっ
ちゃ完璧!最高かよ!」
興奮しながらそんな事言う智也に、俺は呆れる。
「俺、女に興味ない」
女は、見た目だけ良ければそれでいいって思ってる、軽い奴ばかり。
常識を分かってない奴らのどこが良いのか、俺には全く理解できない。
「もうすぐ授業始まるから、席戻れよ」
すると智也は、ほっぺを膨らませて拗ねたような顔をした。
「もう雨羅ったら!冷たいんだから!」
オネエみたいに言う智也を無視して俺は、次の授業の準備を始めた。