「お待たせ、待っててくれて嬉しいわ」

灯の下で見た女の顔と先程から漂う香りで、私は思い出した。
女は私の愛人だ。…いや、『だった』と言うほうが正しいかもしれない。

「私は待っていたつもりはない」
「ふふ、それでもいいわ。それより貴方にプレゼントがあるの」

ほら、と言いながら女が私に差し出したのは、女が今まで両手で抱えていたものだった。
女の両手には色とりどりの花で作られた花束だった。
花束を見て、私は顔をしかめた。花が嫌いだからではなく、女が花束を持ってきた理由が分かったからだ。