「かーれーん、飲み過ぎ!」


「あ、ちょ、春木先輩!」



掲げた手から缶ビールを奪った春木先輩に、香恋がむくれた顔を向ける。



「そんな顔してもダメ。もう終わり。飲み過ぎると、ああなるぞ」



そう言って春木先輩が視線を向けた先には、座席の一番後ろでビニール袋を口に当てている青白い顔の先輩。



隣に座る先輩が慣れたように背中をさすっている。



「ああなるとしんどいよねー」

「アルコール抜けるまでがなー」

「明日は二日酔いだぞ、ありゃ」



口々に述べながら、ビールを口にする先輩たち。



「お前らもだよ! 去年あっちこっちゲロ掃除してたの俺なんだからな!」



はぁ、と溜息を吐いて、春木先輩は香恋の隣に座った。



「そんなこと言ってー、香恋ちゃんの隣に座りたいだけでしょー」


「香恋ちゃんに相手してくれなくて寂しかったんだよなー? 春木は」



先輩たちは容赦がない。



「えへへー、あたしも春木先輩と一緒にいたいー」



可愛く春木先輩の肩に頭を乗せた香恋に、春木先輩は「もう何でもいいよ……」と顔を赤らめた。