急激に紫映と仲良くなったのは、高一の三学期。



始まりは、当時付き合っていた彼氏の残酷な一言だった。



「香恋、別れよう」



理由をきいても答えてくれなくて、一方的に告げられた別れ。



その翌日、その彼がクラスメートのトモコとあたしに二股していたことを知った。



トモコと、トモコの属していたグループは、あたしを避けるようになった。



トモコのグループ以外は、触らぬ神に祟りなし状態。あからさまな態度はとらないけど、少し距離を置かれた。



あたしは初めてクラスで孤立した。



彼氏も失った。友達も失った。



怖くて。辛くて。



放課後はいつも誰かと一緒だったのに、誰も声をかけてくれない。



見慣れた教室が、一気に色を無くして灰色に染まっていた。



あたしはその日から、休み時間のたびにトイレで過ごして、放課後は誰よりも早く帰る。



あともう少しでクラス替え。トモコのグループとは同じクラスになりませんように。


そんなことばかり願っていた私に。



「あの、阿木さん、何かあった?」



紫映が声をかけてくれた。