私のクラス3年2組から美術室まで結構な道のりがある、元々、大学附属高校なので馬鹿みたいにデカい校舎を歩き回ることになる。
ていうか、私今日、家の電気消したっけとか、くだらないことを考えながらあっという間に美術室についてしまった。案外近いんだなーとか思い、扉を開けると。
一人と少年がポツンと窓際の席に座り外を眺めていた。ん?どっかで見たような……とか思いながら使う器具を手に取ったらキャンバスが私の頭から崩れ落ちた。
「え、ちょっと、待って。これやばいかも、あああああ。」
ガッシャーーァン!!
「!!?」
「痛ったーーーい!なにこれぇ、絵?……まるで報われない初恋みたいな…」
「あ、あの、その絵、初、、、恋って思ったの……です、か?」
「え、?なんとなくかなぁ……切ない顔してるからかなぁ。」
目の前にいる少年は肌が白く、眼鏡をかけている。そして、瞳には薄い膜が張っていた。
「もしかして、大野くん??隣のクラスの北島です。分かるかな?」
「あぁ、いつも先生のパシリにされている……」
「パシリじゃないです!!変な事言うねー!大野くんは!!」
「まぁ、演技してるのはわかるよ、俺の前ではいい子ぶんなくても大丈夫だよ。」
「えっっ。そんな、演技なんか、してないよ?」
初めてバレた、本当に初めて。なぜ、今日初めて喋るような人にバレた、どこでなぜ。
「今なんでバレたみたいな顔してるよ??」
眼鏡をかけた彼の瞳の膜はいつの間にか無くなっていてその代わり彼の笑顔が案外カッコイイことは分かった。