風が出て来たせいで雨は激しさを増していた。

バチバチと窓を叩く音が、まるで私の心を叩いているようで耳を塞ぎたくなる。


「...こんな時、俺はお前に何もしてやれないんだな」


...弘くん、違うよ。私は今弘くんのお陰でなんとか自分を保てているけれど、あそこで弘くんに会わなかったら、どうなっていたか、何をしたか自分でも分からない。

今は弘くんの微笑みに救われているのだから。


「そんなことないよ。だってこうして私を助けてくれたじゃない」

「物理的にはな。だけど風花の心は救えてない」

「ありがとう。でもこれは私の問題だから、弘くんが心配することじゃないよ」

「...そう...かもな」

「...うん」


ため息が聞こえた。ねぇ、それってどんな意味だったの。


「ところでお前、寝て無いのか?目の下にくまが出来てる」

私は無言で頷いた。


「ここで眠って行くか?」

「いいの?」

「当たり前だろ。俺のベッド使えよ」

「弘くんは?」

「ここで充分」


指で床を指した。