そう考えたら、たった一秒さえも辛くなってきた。


好きだから苦しい。

彼がその女性を、”カナ”と言う名の女性を抱いていたことを想像すると、胸がはち切れそうになってくる。それはスパイラルを描くように、不の思考が次から次へと湧いてくる。



彼が触れた女性。

彼が口づけた女性。

彼が愛した女性。



私は首を振る。



彼には彼の過去があって、それは私も同じなのに...。



あはっ、私って自分勝手だよね。



「ふっー」


大きく息を吐く。


好きになると独占したくなる。どうしようもないくらい。


それは過去さえも。