一分程の会話を終了し、オーナーは私の顔を伺うように覗きこむ。
私はニヤリと笑うと、彼の首に手を回し、役目を果たさない、絡まりついただけの下着をきにもせず彼に抱き着いた。
先程までの行為でスモークのはった窓ガラスは少し取れかかっている。
「嫌な夫ですねー…、私なんか最近結婚願望薄れてきた気がするわ」
運転席に座るオーナーの上に馬乗りになり腕を絡める私はきっと悪いおんな。
「おまえが言うなって…」
困ったように笑うオーナーの目元は、笑いジワで皺くちゃだ。
若さの足りない荒んだ肌に私はそっと口づける。
口づけは頬に始まり、次第に唇へと移動し、気づけば貪るかのようにオーナーは私の頭を抱え、角度を変えて深く、深く咥内を侵していった。
タバコに火を付ける。
これはシンデレラ的に言えば12時のベル。
今日はもうおしまい。
クーラーをかけながら乱れた衣服を直す。
わたしのプライベートと言えばこれくらいだった。