ある日突然、というわけではない。 気がつけば私の周りには、小さな靄が不穏を掻き立てるかのように ちらついていた。 何気ない会話、挨拶に いつの間にか現れる違和感。 自分に向けられている 微かな思いの名前を、私は知っている。 嫌悪感。 いちはやく感じたのは、入った頃から何かとお世話になった、中出さんだった。 同じ中卒で、流行に敏感な今時のギャルとは裏腹に、呆気からんとしている性格はまさに姉貴と呼ぶに相応しい人。