麻子は胸が詰まって何も言えない。
聡介があんな昔に話した事を覚えていてくれたなんて…
昨日までの不幸が嘘のようだった。
聡介と話しているだけで、心が穏やかになる。
「今も、もし、秋山くんが同じ質問しても、また同じ事答えるよ…
世界で一番、チョコミントが好きって…」
聡介は今を逃すわけにはいかない。
今言わなきゃいつ言うんだ?と、中学生の坊主の聡介が今の聡介を駆り立てた。
「神谷…
実は、神谷は俺の初恋の人なんだ…
中学生の俺は、神谷の事が大好きだった…
だったはずなんだけど…さ、
今日、神谷に会って、俺の魂がまた叫び始めた…
俺はやっぱり神谷が大好きだ~~って」
聡介は勢いで告白したものの、実際はそういうキャラではない。
何も言わない麻子を目の前にして、強烈に恥ずかしくなった。
「……神谷、俺、できるのなら、チョコミントになりたいよ。
世界で一番、秋山くんが好きって言われたい…」
そんな聡介を見て、また麻子は笑った。
こんな気持ち、なんて言えばいいのだろう…