そうすると、今度は二人の視線が私にむかってきた。

「わっ、私は、そんなあげる相手もいませんからっ。」

多分顔はあかくなってるだろうし、声は上ずってしまってる。

「ほんとかなー?あやしー?」

小林さんがいたずらっぽく笑って迫ってきたその時、

ガチャリ。とノックも無しに会議室のドアが開いた。

そこにたっていたのは私達の課長だった。

「課長!」

「あ、お疲れ様です。」

「お前ら、ここで何してる?…ってああ。」

課長はいぶかしげに問いかけたけれど、テーブルに広がるチョコレートを見て理解したようだ。

「毎年、ご苦労さんだな。」

苦笑してそう言われてた。

「課長。会議室の使用許可は取りましたよ。」

山崎さんがなぜかつんとしている。

「そうだったか?でも、就業時間じゃないにせよ、早く帰れよ。」

手じゃなく、口が動いてただろ。

と笑って出ていってしまった。

「もう。いやみね。」

と山崎さんはむくれているが、言い方は優しかったし、からかったような口調だったから、そんなに悪い気持ちにはならなかった。

「…山崎さんって、課長と仲良さげですよね?」

小林さんが聞くと、あぁ。同期だからね。

と山崎さんは答えている。

「歳は向こうの方が上だけどね。ま、言われた通り、さっさと終わらせて帰ろうか。」

と言うことでその後はそんなにおしゃべりせず、もくもくと手を動かした。