自分が抱いた感情でさえコントロールできず。



「結衣さんって不器用なところあるからなー」



「え…?」



と、悠くんがテレビを見ながら呟いた。



「もっと自分の気持ちに素直になったらいいよ。ここに面接に来たあの日みたいに」



悠くんはそれだけ言うと、もう何も言わなかった。



『執事として働きたいと思った理由はありますか?』



『あ、えと…お、お金がほしくて…』



私が佐伯家と初めて会った日。



バカ素直にそんなこと言って、騙しやすいって雇われた。