幹也さんは堪らず私を抱きしめた。



ギュゥ、とまるで離さないとでも言うかのように。



私みたいな経験値0の女が、蒼さんみたいな人を好きになった瞬間からこの恋はもうキラキラを失った。



目の前に私を好きだと言ってくれる人がいるのに、どうして私は…



「…恋って、難しいですね」



抱きしめられたまま、私は小さく言葉を発した。



「私もっと…誰もが幸せになれるものだと思ってました……」



目の前には天井が見える。



幹也さんは私を抱きしめたまま何も言わない。