何も言えずに俯いた。



別に落ち込むようなことは何もない。



これは本当のことだ。



「結衣?」



「ほ、ほんとに何もないんです…私が1人で情緒不安定になってるだけで…」



蒼さんは何も言ってなかった。



それなのに私が1人で勝手に泣いて、勝手に無かったことにして、勝手に出て行った。



「俺が聞きたいのは、そこに蒼が関係してるかどうかだよ」



幹也さんの問いに、どんな意味があるのか分からなかったけど。



「関係あんの?」



再び投げられた問いに、ただ静かに頷いて。