「え、こ、コーヒー、ですか?」



この状況で?と繰り返すと、蒼さんはただ頷いた。



私は首をかしげながらも、カップを手にする。



「蒼、コーヒーなら私が入れるから」



と、案の定私の手からカップを奪い取り、コーヒーを入れようとする詩織さんに



「俺は結衣ちゃんに頼んだんだけど」



蒼さんは待ったの声をかける。



「執事なら主人の言うことくらい聞いてくれる?」



詩織さんなんてまるで無視で、私を真っ直ぐに見ながら笑う蒼さん。