分かってる



それでも聞きたくない、見たくない



どうせ同じ執事なら彼女が執事の方が何かと幸せだろう。



詩織さんの方が仕事もできる、蒼さんのことも分かってる、この家のことも、何もかも。



おまけに綺麗で可愛くて、スタイル抜群のお人形さんのような容姿。



私は一体何に…



そう今にも涙が零れそうになったときだった。



「結衣ちゃん、コーヒーもらえる?」



やっと声を発した蒼さんは、そう一言だけを告げた。