だけど詩織さんにとって、その言葉は苛立ちを煽るものだったらしい。



「余計なこと?結衣さんが蒼を好きってことが?」



わざと大きな声でみんなに聞こえるように言っただろうことは、詩織さんの顔を見ればすぐ分かる。



しん、と食堂が静まり返った。



「…ねぇ蒼聞いてるの?」



詩織さんの呼びかけにやっと顔を上げた蒼さんは、一瞬私の顔を見てすぐに逸らした。



きっと引いたのだろう。



「…違いますから……っ」



振り絞るように声を発する。